安倍晋三と統一教会
『武器としての世論調査』(ちくま新書、2019年)の著者・三春充希は、「旧統一協会の組織票分布の推定」(note、8月8日公開)において、統一教会の参議院選挙における戦略を分析している。
三春は、統一教会の有権者を八万三千人程度と推計する。参議院の比例代表選挙で政党が一議席を獲得するためには百万票程度が必要となる。しかし、獲得議席がどの候補者のものとなるかは、個人名が記された票の数によって決まる。「自民党の場合、その際に必要となる票は十二万票程度であるため、旧統一協会の票を誰に乗せるかは、自民党の各派閥の中でどのように議席が分配されるかということに関わってくる」。つまり、統一教会のプレゼンス(存在)を最大化することができるのが、参議院比例代表選挙の「非拘束式名簿」なのだ。統一教会はこの方法を通じて、実質的な教団の組織内議員を与党の中に送り込み、政治的影響力を行使してきたと見られる。