写真ばあちゃん
昨晩のゆるなびで、ダム建設のために移転した徳山村を20年間に渡って撮影した、増山たづ子の写真を特集してました。
はじめて、ストロボを内蔵した、コンパクトカメラのピッカリコニカでとったそうです。
その写真の一部はダム協会のHPから見ることができます。引用させていただいた写真集『故郷』はすでに絶版です。
手をつないで歩く老人と少女の顔がすごくいいんです。
こういった写真こそ、誰でもみられるようなネットの中にアーカイブして欲しいです。
不思議なことにダム協会は、ダムの必要性を力説するホームページに、開発のために村を追われた人たちの写真を載せているのです。
また、皮肉なことにダムの建設がなければ、この写真集は誕生しなかったのかもしれません。
そして、徳山ダムは貯水量日本一を誇るダムとして2006年に工事が終了する予定です。
その年の3月に増山さんは亡くなったということになります。
このダムは、増山さんに写真をとらせるための天からの贈り物だったと考えることもできなくはないですね。
失われ行く、自然やときを記録しようと増山たづ子さんは、写真を撮り続けたのですから…
日本ほどダムの多い国もありません。電力供給のため、治水のためいろいろと合理的な理由をつけて
開発を行なっていきます。100年ぐらいたつと、ダムの底に泥がたまり、いずれは使えなくなるのです。
泥を排除するには、また莫大な費用がかかり、それが私たちの税金でまかなわれるのもまた事実です。
田中康夫さんは、脱ダム宣言をしたけど、なんか彼の生活とあわないんですね。実がない。
増山たづ子さん(旧徳山村戸入出身、大正6年生まれ)は、60歳を過ぎてから、ふるさと旧徳山村の写真を撮り続けてきました。その写真には、旧徳山村の人々の暮らしや自然が生き生きと描かれています。
写真をとってやるぞという力みのない、いい写真が多いですね。
自分の写したいものを撮る
無作為さが一枚一枚の写真にあふれています。
ホームページで見る写真、構図どりが上手なのは、天性のものでしょうか。あるいは、沢山とった写真(山の生活の記録)の中から、とくによくとれたものをセレクトしたからでしょうか。
だけど、そんなことは、問題ではありません。
たぶん、徳山さんの写真は、写真ブログ(フォトブログ)の原型なのだと思います。自分のこころを込めて愛したものの記録。
その一瞬は、二度と訪れない。
ここが、血のかよわないコマーシャルフォトとは違うのでしょうね。
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