フロイト fort-da

『フォルト・ダー(fort da)』という遊び(日本のいないいないばぁに似たような遊び)を見ていて、『不在と再会の図式(あるいは消滅と再現の図式)』の着想を得ることができたのだという。



1歳半のエルンスト坊やは、紐のついた木製の糸巻きをベッドの下に投げ入れて見えないようにしてから、『フォルト、フォルト(あっち、あっち)』と言い、次にその紐を引っ張りながら糸巻きがベッドの中から少しずつ出てくると、『ダー(いた)』と嬉しそうに笑顔で声を出したのだという。

このフロイトが『フォルト・ダー(fort da)』と名づけたエルンスト坊やの遊びは『不在と再会(消滅と再現)』を示す象徴的な遊びであり、母親が長い時間にわたって側にいない分離不安の強まった時にこの遊びが行われることが多かった。エルンスト坊やは母親がいなくて一人ぼっちの時に、フォルト・ダーと同じ消滅と再現の図式を持つ『自己鏡像を用いたいないいないばぁの遊び』をすることも多かったという。<< 1歳になる赤ちゃん、
 ボールをころがして、机の下にいれて、ナイナイという。
 これが、フロイトの言ったfort-da に相当する発語だ。