この世に僕たちがいきていること

"楽しければ、楽しいと言えばいい。苦しければ、苦しいと言えばいい。それが人間の本当の姿だと思いますよ"

愛知県・旧下山村(現 豊田市)の山あいの静かな地区に、家族が営む素敵なカフェ「ときどき館」がある。そこには双子の画家が描いた美しい絵が飾られている。
 河合正嗣(まさし)さん、範章(のりあき)さん。難病、筋ジストロフィーとともに生きてきたが、弟、範章さんは、すばらしい油絵を描き上げた直後に、眠るように息をひきとった。23歳だった。同じように病気が進行していた兄、正嗣さんは、声を失うかわりに気管切開手術を選択し、一日でも長く、絵を描き続ける道を選んだ。