北国シネマで逢いましょう
bunkamura タンゴ・冬の終わりに
久しぶりの再演。1986年にパルコ劇場で観劇した平幹二郎、名取裕子の名演が懐かしいですね。
もう20年も以前になります。その当時はカウンセリングや精神障害のこともあまり知らず
主人公の狂気は、統合失調症なのか、人格障害なのか何なのだろうと思ってましたが
今見返してみると、覚醒剤の後遺症によるフラッシュバックやアルコール依存症*1による健忘みたいですね。
もちろん、作者の空想が生み出した狂気ですが、虚構ゆえに錯乱した主人公のこころの世界がリアルに舞台上に
展開していきます。
前回は、カブリつきで見ていたので、名取さんの横たわる顔が、1mほど前にあって、白粉の香りと汗でむせ返るようだった。
その香りはたぶん僕が死ぬときまで、忘れることはないでしょう。
堤真一のチャレンジ
シェークスピア役者の平さんに、清水邦夫が当て書きしたこの作品に堤さんが挑戦。
そのイメージを堤真一がどれだけ越えるかみものです。
堤真一やつれている。
やつれて頬がこけ、より凄絶さをました演技。
野村萬斎さんが、オイデプス王を初演したときも、みごとにやつれていました。
それぐらい蜷川演劇は消耗するのです。
平さんの少年は、何か性を超越した妖艶さがあったのですが、堤さんは思春期の少年*2の"もろさ"や"みずみずしさ"をあますことなく表現しています。
見事な絡み(アンサンブル)
29日は千秋楽とあって、楽の一日前の日。舞台はもうこなれています。一か所、段田安則さんが、セリフを飛ばしても見事に
舞台はつづいていきます。さすが。
段田さんの芝居も安心してみれます。常磐貴子さん、初舞台。
主人公に弄ばれた新人女優を力演してます。ここでも絶叫の蜷川調のセリフ。
ビジュアル系 好みの蜷川さんの眼鏡にかなったのでしょうね。
高橋洋さん、藤原竜也さんと二人で、蜷川メソッドを受け継ぐ代表的な若手俳優さん。高橋さん絶叫しても、すねた演技しても光りますね。