硫黄島からの手紙

アカデミー賞ノミネート俳優である渡辺謙(『ラストサムライ』『SAYURI』『バットマン・ビギンズ』)が演じるのは栗林忠道中将。アメリカで教育を受けた栗林は、米軍による硫黄島総攻撃に対し日本軍を率いて果敢に挑んでいく。

このすさまじい戦いの先にあるのはもはや名誉の死しかないと思われるなかで、栗林の意外な戦略により日本兵たちは思いもよらぬ力を発揮して、すぐに決着がつくはずの戦いを40日近くに及ぶ歴史的な死闘に変える。

そのほかの主なキャストは、二宮和也伊原剛志加瀬亮、そして中村獅童

硫黄島からの手紙』は日系アメリカ人のアイリス・ヤマシタと、製作総指揮も務めるオスカー受賞のポール・ハギス(『クラッシュ』)の原案からヤマシタが脚本を手がけた。

リント・イーストウッド監督(76)の連作映画第2弾「硫黄島からの手紙」が9日、初日を迎え、全国400スクリーンで公開された。配給関係者によると、各地で満員の観客動員は、先に公開の連作第1弾「父親たちの星条旗」の約3倍。「父親たちの星条旗」の興収が現在15億円で、「『硫黄島からの手紙』の興収50億円突破は確実」と見ている。

映画は、硫黄島にある日本人の慰霊碑のカットから始まります。すり鉢山の要塞や戦車の残骸今なお眠る1万3千名の遺骨。司令部後から日本兵の手紙が発見されるカットから二宮和也と仲間の兵隊たちが、海辺で塹壕を掘るシーンにつながります。 次ぎにつづく、栗林をのせた軍機が硫黄島の飛行場に着陸してくる場面。すばやく画面を横切る機体の映像、飛行機の爆音、どれ一つとっても映画の醍醐味があふれる一作。 この映画がハリウッドでつくられていることに、やはり羨望や落胆を感じます。*1

若手俳優 大抜擢

二宮の演じる西郷の地獄の戦場でのサバイバルが見物。「監督は主人公を殺さないだろうな」と思っても最後まで目をはなさません。かなり、はらはらする展開です。 『青の炎』や『優しい時間』でみせた激しい情感を内に秘めた繊細な男のキャラをここでも存分に発揮しています。 西郷と仲よくなる憲兵から脱落した兵隊、清水(加瀬亮)も感銘深い役です。 日本人の俳優がもっている細やかさや優しさをこの二人が代表してます。 映画の主役の栗林を演じる渡辺謙の方は、前作『明日の記憶』の部長のように、威厳を感じさせながら、どこか軽妙な女性的な気遣いを表す人物になっています。

父親たちの星条旗』にはない死への覚悟

第一部が、アメリカでは無名の俳優を使っていたのとは対照的にこの映画では日本の人気俳優を使っているのも面白いですね。 戦争映画といっても、親と子、夫婦、戦友などの愛情を描いた人間ドラマに仕上がっています。 この冬一番の話題作です。 年輩の男性の観客が多いですね。
米ロサンゼルス映画批評家協会賞が10日発表され、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」が最優秀作品賞に選ばれた。  同作品は、米映画批評会議でも作品賞を贈られた。アカデミー賞の前哨戦とされる映画賞を立て続けに制し、来年2月25日に授賞式が行われる同賞の有力候補に躍り出た。(時事)
前作ではプログラムに蓮實重彦さんが解説を書いていました。 *2

*1:制作費のことだけではなくて、映画に対する愛情とか、姿勢とかそんなもん。

*2:ここに蓮實の映評はありません。http://www.flowerwild.net/2006/12/2006-12-04_102306.php