ジェシー・ジェームズの暗殺

 演劇的な、心理ドラマ。アンドリュー・ワイエスの風景画を思わせるくすんだ映像。

パブリックイメージの形成

 アメリカの伝統芸術としての映画が、どのようにして、民衆の英雄伝説を取り込んで形成されたかが、よく分かる映画。

 ジェシー・ジェームズを伝説のヒーローとして、崇拝し、彼の手下になったロバート・フォードは、その気まぐれな悪漢ぶりの
実像に失望する。崇拝者が、一転してロバートをいつ殺すかもしれない敵に変わる恐怖。

 その恐怖にとらわれるまま、自分に襲いかかる敵ジェシーを倒し、新たな伝説のヒーローになる計略をねることになる。

 ジェシーの死体の写真は、三流新聞にとりあげられ、その伝説はどんどん、底辺の男たちに広がり、義賊として神格されていく。

自分たちがなりたいと思っても、なることができない恨みをかきたてる富裕者である銀行家や鉄道経営者から、金を強奪し
恨みを晴らす民衆のヒーロー、ジェシー・ジェームズ!

ヒーロー暗殺の場面を忠実に自分自身が演じることによって、フォードの英雄願望は達成されるのだが…。

歴史は二度、繰り返される。最初は悲劇として、二度目は喜劇として。

 
見せ物として演出された、暗殺場面は、映画の中に受け継がれ、繰り返し繰り返し反復されることになる。
よく出来た映画だが、暗いので、ヒットは今ひとつ。

 ジェシー・ジェームズ映画の系譜
『地獄への道』 タイロン・パワー ヘンリー・フォンダ出演
『地獄への逆襲』フリッツ・ラング 監督
『地獄への挑戦』サミュエル・フラー 監督
『ロング・ライダーズ』ウォルター・ヒル 監督

南北戦争直後の西部を舞台に、帰る故郷もなく、無法の荒野に青春を送った若者たちの破天荒な行動を描く西部劇。製作総指揮はジェームズ&ステーシー・キーチ、製作はティム・ジンネマン、監督は「ウォリアーズ」のウォルター・ヒル、脚本はビル・ブライデン、スティーヴン・フィリップ・スミス、ステイシー&ジェームズ・キーチ、撮影はリック・ウェイト、音楽はライ・クーダー、編集はデイビッド・ホールデン、美術はピーター・ロメロが各々担当。出演はデイヴィッド、キース、ロバートのキャラダイン3兄弟、ジェームズとステイシーのキーチ兄弟、デニスとランディのクエイド兄弟、ケヴィン・ブロフィー、ハリー・ケーリー・ジュニア、クリストファー・ゲストなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。テクニカラー、ビスタサイズ。1980年作品。

『腰抜け列車強盗』ボブ・ホープ主演
『ジェシー・ジェームズとフランケンシュタインの娘』