TOKYOチャレンジネット

 いわゆるネットカフェ難民救済のための自立支援相談窓口として、TOKYOチャレンジネットが誕生して、3カ月
問い合わせは1000件。相談に訪れた人々は800人に登る。

24時間営業のネットカフェやファストフード店に寝泊りしながら、日雇い派遣などの不安定労働に従事する人々――いわゆる“ネットカフェ難民”が社会問題化し始めたのは、ここ数年のこと。平成19年に実施された厚生労働省の調査によると、東京都内には現在、約2000人の“難民”が存在すると推計されている。

生活基盤が不安定で住居を借りられない→定職に就きたくても就職活動ができない→不安定な仕事をするしかない→(以下、無限ループ)。そんな悪循環に落ち入ってしまった人々をサポートすべく、東京都と厚労省は今年4月、ネットカフェが数多く集まる新宿・歌舞伎町に、自立支援相談窓口「TOKYOチャレンジネット」を開設

 
 日雇い派遣は原則禁止になっても、日雇いで働く派遣労働者はまだまだ減少していない。
プレカリアート(不安定労働者)をいかに、正規雇用に組み入れるかが、これからの課題だ。

事業の中心は、敷金や礼金など住宅資金(上限40万円)と生活資金(上限20万円)の貸し付けだが、これまでに貸し付けが決定したのは53人。このほかホームレスの支援施設に入ったり生活保護を受けたりしたのは23人で、その他多くの登録者はいまも不安定な生活を続けている。

 日雇いの仕事で就労先から就労証明書を発行してもらえない、収入が少なすぎるなど、貸し付け要件を満たしていない登録者も多く、都は同時に職業紹介を行って内定者も貸し付け対象にしているが、長期間の不安定な生活で疲弊し、就職活動が進まないケースも多いという。

ただ、就労意思がない給付金目当ての受講者を防ぐため、厚労省はハローワークの面接などを活用する方針で、「不適当と判断すれば、希望しても訓練をあっせんしない」としている。

 住居喪失不安定就労者は路上生活のホームレスと異なり、自立支援のための特別措置法の適用外で、対策が求められていた。