芥川龍之介の「地獄変」

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

藪の中 (講談社文庫)

芥川龍之介の「羅生門」は、私の人生に影響を与えた小説だ。あの国語の教科書の定番の小説だ。気の弱い下人が、生きるために盗人に変わる。ホラー仕立ての物語の展開、老婆が語る悪の論理は、現代でも充分に通用する。視点を変えれば、あからさまな老人虐待や食品偽装を扱った作品だ。

映画の『羅生門』は、この小説ではなく「藪の中」を映画化したもので、夫の眼前でレイプされる妻が登場するエロチックな作品だ。「地獄変」は名作を描くために娘を焼きころすアーチストの話。これほど、高校生に読書感想文の苦しみを与えた作家もいない。