斎藤環@abc
http://www.aoyamabc.co.jp/events.html#ao20060129_1
中上健次、現代文学の{極限=限界(リミット)}
『中上健次[未収録]対論集成』(作品社)刊行記念
斎藤環(精神科医)×高澤秀次(文芸評論家)
斎藤さんが最近、注目しているヤンキーとファンシーを小説に定着した先駆者とし、中上健次を再評価しようとでもいうのでしょうか。
作者の精神分析をしているのではないと斎藤さんが前置きをしても、
最近(ゼロ年代)の作家たちは「みんな病気ですか」と尋ねずにはいられない明治学院大学の教授、高崎さんの一言が、この対談をすべてを表しています。
なにか精神分析の概念がメタ批評として、鋭い指摘をしている高級な作業に見えてしまうことが、最もへんなことです。
むずかしい概念で説明すれば、作品は解明されるというのは、誤った思い込みにすぎません。
だから、斎藤さんの指摘は「面白い」というのは、決して誉め言葉ではないのです。
作家には書かずにはいられないというような、動機や欲動(突き上げてくるもの)があるのは当たり前でしょう。
ただ、金儲けのために小説や芝居を書いている人は、多いですけど、多くは持続できない。
中上の読みにくさと環さんの理論の分かりにくさで、質問も意見もできなかったという意味で、記憶に残る講演会。