台風の被災

千葉の台風被害が明らかにしたことは、館山、鴨川など高齢化が進んでいる。
 南房総市といわれても、どこか分からない。地名が変わっている。千倉、和田、冨浦といわれて、やっとどのへんかわかる。
 倒木により、電線が切れたのは、山林を手入れしていないから、道をふさぐほど、木が繁茂している。
 復旧に時間がかかるのは、被害が大きいこともあるが、地域の合併によって、役場(行政職員)に人が少ないからである。支援がうまくかみ合ってない。
 かっては、漁業や農業が盛んだったが、衰退し、若者や、子育てをする30代、40代は、都市部に住んでいる。
 被災して、家が倒壊しても、高齢者だけだと、再建することができない。費用がない。
 次に何が起こるかといえば、介護を必要とする高齢者が、都市部(東京や千葉の首都圏)に流れ込むという現象だ。
 衰退した地方には、病院がないので、しかたなく移住することになる。
 和田の中山病院は、大田区ケースワーカーとして働いていたとき、訪問した病院で懐かしかった。電源を喪失して自家発電で、人工透析の機械を動かしていたが、電力が回復するまで、他の病床は、真っ暗だった。
 この病院の院長は、旗の台の昭和大学病院に勤務していて、そのとき、大田区では、療養できない、糖尿病、認知症の患者を自分のところで受け入れてくれたのである。中原先生がテレビに登場して、懐かしかった。
 これだけ見ると、いい話だが、それは介護施設が都内に足りないことから生じたことで、病院はこういった患者を受け入れて儲ける仕組みになっている。
 今回の災害で、千葉の特養に入所している方が、熱中症でなくなった。冥福を祈るとともに、都内では、土地がなくて、施設が立てられず、遠隔地の特養に収容される高齢者は多い事実に目を向けたい。
 今回の災害でも明らかなように地方の地域が衰退してしまうと、都市部に行き場のない高齢者があふれるようになる。
 75歳を超えると、医療が必要になる人が増える。都市部に病院も介護施設も足りない。これから、30年の間、悪循環が続く。
 もう、高齢者の仲間入りをしている自分も他人ごとではない問題である。