AV女優・声をなくして

一面に取り扱われている白川静さんの訃報の影に、中沢さんの小さな死亡記事を発見しました。最近ではイシダイラ(石田衣良)さんが、紹介していてエッセイを読んだ方も多いと思います。

永沢 光雄さん(ながさわ・みつお=作家)は1日、肝障害で死去、47歳。通夜は4日午後6時、葬儀は5日午前10時から東京都新宿区新宿2の15の20の正受院で。喪主は妻恵さん。

 著書に「AV女優」「声をなくして」など。

中沢光雄さん逝去。ご冥福をお祈りします。受験生のみなさま。まじめに補習を始めた方もいらっしゃるのに失礼します。といってもプログをご覧になるのは、大学に入学してそれから後のことでしょうが…。

といっても、朝まで飲んでいても合格する大学もあるそうです。中沢さんが、東大生のインタビューに答えて、入試のことや履修登録さえせずに、何しろ履修登録をしなければ授業が受けれないことを知らないで、グズグズするうちに、終わってしまった大学生活のことを述べた文章があります。

大阪芸大に出願した。
 受験前夜、大阪に来ていた永沢さんは、ふらりと飲み屋に入った。
「にいちゃんは受験生か、どこ受けるんや?」
大阪芸大です」
「なに、芸大か」
 一同大爆笑。芸大だったら朝まで飲まんと受からんぞ、といわれて朝までつき合わされた。大阪に初めて知ったことだが、地元では鉛筆を尻の穴にさしてても受かる大学で通っているらしい。

ずいぶんと面白おかしく語っているのですが、何か人間臭くて、ホットするところがある。指導要領に書かれた基準に従えと、さも偉そうに、人に押しつけられて勉強するよりも、思う存分に自分のしたいことをするほが、どんなに幸せではないでしょうか。

世界中の大学が、誰でも入学できるようになったら、自死する校長もいなくなるでしょう。

「生徒に瑕疵(かし)はありません」。痛ましくも自殺した茨城県の校長先生の「お願い」は、現場を預かる人の思いを痛切に伝えている。しかし、補習をほとんどしないのでは不公平感が広まるはずだ。文部科学省には、混乱を速やかに収束させる責務がある。

 公立校での必修漏れが発端だったが、文科省の全国の調査では、私立校の方が履修漏れの率が高かった。中高一貫校も目立つ私立では独特の教育課程を組む学校がある。高校3年の分を2年までに終えてしまい、3年は入試対策に絞るところもあるという。

 私学に限らず、学校の独自性は大事だ。しかし3年の4月にスタート地点に立った時、一部の生徒たちだけが既に先の方を走っているという構図は真っ当と言えるのだろうか。必修科目の学習よりも「先んずれば人を制す」を必修化しているような姿は、もの悲しい。

< こんな、つまらぬコラムを一面に書いている新聞の39面に、隠れたベストセラー作家、中沢さんのほとんど誰も見ないような記事を発見したのです。癌に犯されて、声帯を手術で摘出したことは知っていましたが、47歳は早すぎる死ですね。 "わたしは、言う!ちゃんと言う!みんな死ぬな!"とは中沢さんの言葉。 こういった言葉は、切羽詰まった人にしか吐けないのです。 AV女優 (文春文庫)