未履修・卒業危機

教育改革の矛盾が、露呈したような報道ですね。
このニュースの内容を読んでも、学校関係者じゃなければ理解不可能なことがいっぱいでてきます。

結局、受験勉強を優先させたことにより、卒業に必要な「世界史」の授業をしなかった。受験勉強をしなければならない大切
な時期に、世界史の授業をやられたって、それは困りますよ。

それだけじゃなくて世界史を受験科目としている、センター試験を受ける生徒から、不安の声が上がったのでしょう。

たぶんその生徒は予備校で、補習を受けているのではないでしょうか。

そして、弁解をしているのは前・校長。責任の所在は曖昧なままに、不利益を被ったのは生徒ということになります。
そしてその言い訳を、生徒から「授業を丁寧に教えて欲しいという要望がでたため」としています。

篠田校長は「日本史だけ、地理だけ学習しても、その中で世界とのつながりについて触れるため世界史も履修したことにできると思った」と説明したという。

 卒業単位を取得するためには、最低でも50分授業で70回分に相当する補習が必要で、県教委は「平日の授業を増やし、土、日曜日、冬休みを利用するなどし、なるべく受験に影響が出ない補習の仕方を検討させたい」としている。

高岡南高校によりますと、3年生が入学する前の年の平成15年10月に教育課程委員会を開いて、必修である世界史を選択にかえカリキュラム上は世界史の授業を行っているいようにみせかけることを決めたということです。

地方の公立進学校の苦しい内情が、今回のように暴露されてしまったわけです。

盛岡一高では約4年前からこのような形で授業を行っていたといい、鈴木文雄校長は「入試対策のためだった」と説明。1科目しか履修していないのに毎年、県教委には2科目を履修したと虚偽の報告をしていたという。今後は土日に補習を行うなどして対応する。

県立福島高校では少なくとも2003年から県の教育委員会に生徒が世界史を履修しているように見せかけた虚偽の時間割を提出していたという。

これは、富山県だけの問題だけとは思えません。岩手県福島県愛媛県でも同じような未履修問題が発覚。こうなってくると履修していなくても、平気という雰囲気さえ生まれそうです。

まだまだ隠蔽している県は多いでしょうね。これが日本の教育の本質を示しているのではないでしょうか。高校になると受験教育が中心になる。

"学力向上"だけでは、日本の根底にある教育格差の問題は到底解決しないでしょう。